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[Music Essay] Fender ‘55 Tweed Deluxe リアンピングによるサウンド比較(歪み編)| UAD2 Audio Plugin

プリセット「ALBERT'S ROYAL CREAM」は、クラプトンのウーマントーンに近づけられるのか?

Universal Audio(以下UAと表記)のプラグイン、Fender ‘55 Tweed Deluxeを使ってリアンピングによるサウンド比較を行ってみた。

アンプ実機でのリアンプ作業はアンプの用意から機材のセッティング、レコーディングまでかなり手間がかかる作業だが、プラグインの場合はUAのソフトウェアである、ConsoleとUADオーディオプラグイン、DAWがあれば短時間で作業が可能だ。

今回はApolloにて録音したギターの生データファイル1つを再利用し(リアンピング的に使用し)、プリセット設定を変更することで音の変化を確認するという趣向にした。

【使用環境】
Universal Audio Apollo 8 Duo + UAD2 Satellite QUAD
DAW:Pro Tools
イフェクトにUADプラグイン「Real Verb」を使用

【Apollo Console設定】
・Apollo: 「インピーダンスの相互作用を保ったままライブでステレオモニタリング」
  ※Hookup社「Fender ‘55 Tweed Deluxe プラグイン」マニュアルを基に設定(PDFへのリンクはこちら)

プラグイン内にセッティングされているアンプ前のバーチャルな2台のマイク信号は、Unison Hi-Zで録音するとモノラルになり、マイク音はミックスされてしまうが、下記の設定を行うことにより、デュアルマイク・サウンドが可能になるという。

『このワークフローでは、2台のアンプ・プラグインを Console で使用します。:1つは、Unison インサートでインピーダンスの相互作用のために、そして、もう1つはアンプ・プロセッシングを行なうためにステレオ AUXバスに使用することでマイクのパンを調整できるようになります』(Hookup社「Fender ‘55 Tweed Deluxe プラグイン」マニュアルから引用)

【ギターセッティング】
・ピックアップ・タイプ:EMG (アクティブピックアップ)
・ピックアップ・セレクター:リア
・ボリューム(8割ほど)
・トーン・コントロール:フル(10)

この方法ではApolloのHi-Z インプットにギターを接続しドライ音で録音しているため、リアンピングが可能。録音したひとつのソース(ドライ音)をもとに下記プリセットで鳴らしている。ドライ音はモノラルでの録音だが、Consoleを活用した設定方法により、ステレオ出力になっている。

2024.8.26 加筆訂正
ドライ音は元々モノラルファイルのため、それをリアンプ用に再利用した場合、Console上ではマイク音はミックスされた状態になってしまう。結果として上記のライブ録音ではなく、リアンプの場合、2つのマイクのパン調整はできないようだ。

プリセットをそのまま使用すると、アクティブタイプのピックアップでは特に低音6弦の響きがギターボリュームフルで歪みすぎる反応があるので、ボリュームを8割程度にする方法を採用した。プラグインの機能「LINE / NORMAL」を使用する方法もあるが、LINEを選択するとかなりゲインが落ちるため、あえてギターのボリュームで調整した。

今回プリセット全てをカバーしていない。気になったサウンドを下記にピックアップした。

【プリセット:DEFAULT】
スピーカーJP12:工場出荷時のオリジナルに使用されていた 25-ワットの Jensen P12R スピーカーをモデリング

【プリセット:80'S POP ROCK STRAT】
スピーカーJP12:工場出荷時のオリジナルに使用されていた 25-ワットの Jensen P12R スピーカーをモデリング

【プリセット:BEEFYLP】
スピーカーJB120:Fender 用リプレイス・スピーカーとして70 年代の120-ワットJBL D-120Fを搭載した状態でのモデリング

【プリセット:NASAL CRUNCH】
スピーカーJB120:Fender 用リプレイス・スピーカーとして70 年代の120-ワットJBL D-120Fを搭載した状態でのモデリング

【プリセット:OLYMPIC RIBBONS】
スピーカーGB25:ロック・プレイヤーに人気のクラシックなCelestion 25-ワット“greenback”スピーカーをモデリング

【プリセット:ONE OF THESE NIGHT SOLOS】
スピーカーJP12:工場出荷時のオリジナルに使用されていた 25-ワットの Jensen P12R スピーカーをモデリング

【プリセット:STUDIO DAN】
スピーカーJP12:工場出荷時のオリジナルに使用されていた 25-ワットの Jensen P12R スピーカーをモデリング

【プリセット:THE BREAK UP】
スピーカーJP12:工場出荷時のオリジナルに使用されていた 25-ワットの Jensen P12R スピーカーをモデリング

【プリセット:THUMPBACK】
スピーカーGB25:ロック・プレイヤーに人気のクラシックなCelestion 25-ワット“greenback”スピーカーをモデリング

【プリセット:WHITE RIBBON】
スピーカーGB25:ロック・プレイヤーに人気のクラシックなCelestion 25-ワット“greenback”スピーカーをモデリング

【プリセット:ALBERT'S ROYAL CREAM】
スピーカーGB25:ロック・プレイヤーに人気のクラシックなCelestion 25-ワット“greenback”スピーカーをモデリング

アクティブタイプのピックアップでプリセット「Albert's Royal Cream」を選択すると、かなりファズっぽいノイジーな響きになり、魅力的だ。

チューブアンプに特有なディストーションサウンドの原型なのかもしれない。自問自答だが、クラシックなイフェクター、Fuzz Faceのサウンドにも似ていないか? 音のつぶれ感が心地よいと思う。

録音時にピッキングノイズが入っていたため、歪みが強いとそれが強調されてしまうが、それはアンプ実機でも同じなのだろうか。いずれにしてもピッキングノイズは演奏技術でカバーしなければと思う。


トーン・コントロール:(10=フル)の場合 ・トーン・コントロール:(0)の場合:ファイルは別録音によるものでモノラル形式。イフェクト無し

【UAD2 | Fender ‘55 Tweed Deluxe記事一覧】
>>> Universal Audio : Fender ‘55 Tweed Deluxe(概要について)
>>> Fender ‘55 Tweed DeluxeをDAW 「Pro Tools」で使う | UAD2 Audio Plugin

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